山梨県北杜市・神供石

山梨県小淵沢町・時がゆっくり進む磐座 神供石

神供石

〒408-0041 山梨県北杜市小淵沢町上笹尾
県道608号(長沢小淵沢線)と中央東線の線路が交差する辺り

日本、〒408-0041 山梨県北杜市小淵沢町上笹尾

わさびを栽培しているほど水のきれいな神社があるということで参拝に上がったところ、途中の道の脇に磐座があることに気づいて帰りに車を止めた。Google Mapで付近の磐座を検索したときには出てこなかったもので、道の脇に「ただ在る」ところが気になる。

 岩の近くには看板が立てられている。ここ何年か一神教が成立する前の神について考えて動いているうち、結果的に「まつろわぬ神」を追うことになっているのだが、この看板を見て私と連れは小躍りしてしまった。元々訪れた大滝神社の裏手にもいい感じの磐座があるのだが、この磐座も大滝神社の磐座だったようだ。大滝神社は筒粥神事を行っていたそうで、饌米と筒をミシャグジ神が降りるこの岩に献じ、それから筒を割って作物の豊凶を占ったのだという。今回の旅は山と川のある場所に行こうというだけだったのだが、この磐座を訪れたことでミシャグジ神を追って諏訪に行くことになった。

 この磐座を訪れたら、ぜひゆっくりと時間を取って空気感を味わってほしい。周囲との時間の流れがまったく違う場所だし、個人的には今まで訪れた磐座の中でもトップクラスの周波数を持つ磐座だと思う。古代祭祀系の神社はお守りやご朱印だけでなく社務所もなく、かつては広大だっただろう土地も小さくなっていることが多くて、この神供石のように重要だったはずの磐座が神社と切り離されていることもある。古代大きな岩として人々が祈りを捧げていたものが神社に祀られるようになり、そして今また道の脇にひっそりと佇んでいるのだと思うと、ただ「在る」とはこういうことなのか、と思う。

 ミシャグジ神は御作神、御左口神などの当て字が使われていて、呼び方もミシャグジ、ミシャクジ、ミサグチなど安定していない。諏訪エリアで祀られている古代神と言われていて、鹿の頭を供える「御頭祭」を行っていたためか、現在ではゲームなどで恐ろしい神として扱われたりもしていて納得がいかない気持ちになる。このミシャグジ様を祀っていた神官、守矢家の史料館が茅野にあって御頭祭の様子を復元展示しているが、ただただ神々しい鹿や猪たちに手を合わせてしまう場所だ。怪しいことを言わせてもらうと、彼らは本当に無邪気に「神になって、神のそばにいる」。元々の諏訪の神だった洩矢神を建御名方神が制圧するまで(諏訪エリアではそう言われているが、建御名方神は古事記・日本書紀では大国主神・事代主神に負けたとされる)、ミシャグジ神は物部氏の系統である洩矢神という名前で祀られていたのかもしれない。

 ミシャグジ神についてはユダヤ、徐福などについて個人的な仮説が立ったので、神長官守矢史料館の敷地にある御左口神社(御頭御射宮司総社)の記事で述べたいと思う。

 私が知る限りでは東北から中国地方まで、似たような祭祀形式で古い神(荒神、クナド大神、アラハバキ、ミシャグジ神など)を祀っている。山梨・長野エリアはとんでもない数の縄文遺跡があって、古代祭祀の色が比較的濃く残っているエリアだ。特に諏訪・茅野周辺は、古代の神について興味のある人間にとって多くのヒントが残された場所なのではないかと思う。

神供石看板
神供石
神供石
神供石

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