御劔石

京都府京都市・稲荷山最大の磐座 御劔社(長者社)の雷石 

伏見稲荷大社

〒612-0882 京都府京都市伏見区深草藪之内町68
      JR奈良線 稲荷駅下車 すぐ目の前
      京阪本線 伏見稲荷駅下車 東へ徒歩5分
      名神高速道路 京都南インターから 約20分
      阪神高速道路 上鳥羽出口から 約10分

ご祭神

宇迦之御魂大神(うかのみたまのおおかみ) 下社(中央座)
佐田彦大神(さたひこのおおかみ) 中社(北座)
大宮能売大神(おおみやのめのおおかみ) 上社(南座)
田中大神(たなかのおおかみ) 下社摂社(最北座)
四大神(しのおおかみ) 中社摂社(最南座)

日本、〒612-0804 京都府京都市伏見区稲荷山官有地16

 美しい千本鳥居で国内外に知られる伏見稲荷は和銅4年に「伊呂具秦ノ公が勅命を受けて三柱の神を伊奈利山の三ヶ峰に祀った」という言い伝えがあり、京都に多い秦氏と関連する神社だ。空海は稲荷山のすぐ近くに東寺を賜ったが、伏見はかつてその鎮守社とされた。現在でも稲荷祭の最終日には東寺の僧侶らが供物を並べ、神輿に読経をあげる儀式が続いている。

 おもかる石のある奥社奉拝所からさらに進むと、「お山をする」人も多い稲荷山に入る。伏見に祀られる神々との間を取り持つ「オダイ」と呼ばれる人たちならすいすい登れると言うが、傾斜のきつい石段が続いて個人的にはヒーヒー言いながら登っている。私の連れは七度参りと呼ばれる「一日にお山を七周する」参拝を何度かしているが、年々体力がなくなる年頃なのでもう七度参りは無理だと言っている。周囲がある程度見渡せてゴールの見当がつく山なら初めてでもあそこまで頑張ればいいという目安があるのだが、伏見のお山は四ツ辻の手前まで鳥居と周囲の自然しか見えない。

 時々立ててある看板には「凶暴な猿に注意」とか「イノシシに注意」などと書かれている。実際連れは夜のお山でイノシシに出くわしたことがあるそうなので人があまりいない時間帯に登る方は多少音を立てながら登った方が安全かもしれない。だが危ない動物ばかりというわけではなく、三ツ辻の辺りには猫たちがいて休憩しながら撫でたりできるし、啄木鳥が木をつついたり野鳥たちが美しい声で囀る音が心地よく耳に飛び込んできたりもする。

夜の稲荷山
眼力社
稲荷山

 一周二時間で回れるとされている稲荷山だが、多くの社やお塚だけでなく滝のように設えた行場や川など、見たくなってしまうものがたくさんあるので隅々まで見ると結構な時間がかかると思う。お塚は怖いという人もいるが、ひとつひとつは小さな磐座・磐境を表現したものだ。祀られている神の名前には馴染みがないが、稲荷名をつけて祀った名前だ。

 私は神社で祀られたりお塚に降ろされる神を「人の神」と分類しているが、それは人々が信仰する気持ち、崇敬する気持ちによって神仏の在り方が変わると思っているからだ。同じ神を祀った神社でもそれぞれ違った感じだと思う人は多いのではないだろうか。お塚に祀られている神仏はそれを拝む人たちのものであって、直接私たちに関係があるわけではない。

稲荷山 行場近く
熊鷹社
四ツ辻から

 四ツ辻から左回りで歩いていくと、30分ほどで一ノ峰の手前、長者社神蹟(御劔社)に到着する。剣という名前がついているが、この社で祀られているのは加茂玉依姫、下鴨神社の主祭神として知られる女神だ。そして社の背後にある岩の名前は雷石、息子である賀茂別雷命を思い起こす名がつけられている。賀茂氏系統の神二柱が、泰氏の神社に祀られていることになる。伏見では稲荷経だけでなく、お塚で般若心経が唱えられる。稲荷山に入れば、神道も仏教もなくただ「信仰」があるだけだ。山形や鳥取、そのほか多くの地域で見られるように、先祖を大切に思う心、神を崇敬する心、仏を、空海を、僧侶某を…といった目に見えない世界への思いは同じものとして扱われていいはずだと私は思うし、二元論に囚われないその在り方が大好きだ。

 お塚は一ノ峰、二ノ峰、三ノ峰を中心としてストーン・サークル状に設置されているという話だが、何度行っても不規則に置かれているようにしか見えない。だが、もし本当にそういう意図で配置されたのだとしたら螺旋状のエネルギーが生まれるはずで、それぞれ個々の家や人の神の在り方(お塚は一万基以上あるという)をすべて承認して飲み込んだ山は、比喩的に言えばブラックホールのような重力=吸引力の強い場所になって当然だろう。

 空が見渡せる四ツ辻はUFOを呼びやすい場所で、稲荷山をUFO出没エリアと認識している地元の人も多い。私の連れはここで何度かUFOを目撃して、「水曜スペシャルと違う…」と変なショックを受けていた。

御劔社
御劔社
雷石
雷石
雷石
権太夫大神から

関連記事一覧