花窟神社

三重県熊野市・花窟神社 聖なる母性の磐座

花窟神社

〒519-4325 三重県熊野市有馬町 上地 130
      JR紀勢本線・熊野市駅から徒歩7分

ご祭神

伊弉冊尊(イザナミノミコト)
軻遇突智尊(カグツチノミコト)

日本、〒519-4325 三重県熊野市有馬町 上地 130

 熊野三社を訪れる際に便利な新宮エリアから、海沿いの国道42号線を北上すると約30分ほどで花窟神社に到着する。42号沿いでは海亀が産卵する浜の近くにあるウミガメ資料館「ウミガメハウス」で餌をあげたりもできて、家族連れでも楽しく過ごすことができるだろう。

 花窟神社のご神体である大きな磐座は伊弉冊尊を祀ったものだ。2021年9月にその一部が崩落し、高さ2、30メートルの辺りに窪みができたというニュースがあったので、今現在の姿はここに掲載した写真とは異なる。その崩落によって70cmから120cmの岩が伊弉冊尊の拝殿に落ちたとのことだが、私たちが訪れたときは木の柵を空けて靴を脱ぐことで拝殿で祈ることができた。

花窟神社・入口
花窟神社・参道
花窟神社・入口
花窟神社・御神体と拝殿
花窟神社・御神体と拝殿

 伊弉冊尊の巨石は凛としていながらゆったりとしたエネルギーだ。この磐座は陰石で、和歌山県新宮市にある神倉神社のご神体、ゴトビキ岩を陽石として対になると言われている。神倉神社は熊野速玉大神という名前でイザナギを、熊野夫須大神という名前でイザナミを祀っていたが、熊野速玉大社に二柱を移動したため現在は高倉下命と天照大御神を祭神とする。

花窟神社説明書き
花窟神社御神体
花窟神社・御神体

 伊弉冊尊を祀るご神体の向かいには、火の神であったために出産時に伊弉冊尊にやけどを負わせ、結果的にその命を奪った軻遇突智尊の磐座がある。父である伊弉諾尊に斬り殺されてしまった軻遇突智尊は、その体から多くの神を生み出した。人気の高い龍神である闇淤加美神(くらおかみのかみ、貴船神社の奥宮などに祀られる)や高龗神(たかおかみのかみ、同じく貴船神社の奥宮などに祀られる)や鹿島神宮で有名な建御雷之男神(たけみかづちのおのかみ)などである。この話はオシリスがその体をばらばらにされ、ホルスとして復活したというエジプト神話と共通した概念があるのではないだろうか。軻遇突智尊は一度死ぬことによって、火という一つの要素を分解した多くの要素として蘇ったのだ。

 軻遇突智尊は全国にある秋葉神社や愛宕神社では火伏せ、防火の神として祀られている。45メートルだという伊弉冊尊の巨岩と比べて小さな-と言っても18メートルあるそうだが-軻遇突智尊の磐座は、母の胸に抱かれる赤ん坊を想像させる。花窟神社の中はとても穏やかで、母と子の愛情のような温かいエネルギーに満ちている。

花窟神社・軻遇突智尊の磐座
花窟神社・軻遇突智尊の磐座
花窟神社・神と人とを結ぶ縄
花窟神社・神と人とを結ぶ縄
花窟神社・七里御浜から見た御神体
花窟神社
黄金龍神の社
稲荷社

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