三重県熊野市・花窟神社 聖なる母性の磐座 2021.11.05 花窟神社〒519-4325 三重県熊野市有馬町 上地 130 JR紀勢本線・熊野市駅から徒歩7分 ご祭神伊弉冊尊(イザナミノミコト) 軻遇突智尊(カグツチノミコト) 日本、〒519-4325 三重県熊野市有馬町 上地 130 熊野三社を訪れる際に便利な新宮エリアから、海沿いの国道42号線を北上すると約30分ほどで花窟神社に到着する。42号沿いでは海亀が産卵する浜の近くにあるウミガメ資料館「ウミガメハウス」で餌をあげたりもできて、家族連れでも楽しく過ごすことができるだろう。 花窟神社のご神体である大きな磐座は伊弉冊尊を祀ったものだ。2021年9月にその一部が崩落し、高さ2、30メートルの辺りに窪みができたというニュースがあったので、今現在の姿はここに掲載した写真とは異なる。その崩落によって70cmから120cmの岩が伊弉冊尊の拝殿に落ちたとのことだが、私たちが訪れたときは木の柵を空けて靴を脱ぐことで拝殿で祈ることができた。 伊弉冊尊の巨石は凛としていながらゆったりとしたエネルギーだ。この磐座は陰石で、和歌山県新宮市にある神倉神社のご神体、ゴトビキ岩を陽石として対になると言われている。神倉神社は熊野速玉大神という名前でイザナギを、熊野夫須大神という名前でイザナミを祀っていたが、熊野速玉大社に二柱を移動したため現在は高倉下命と天照大御神を祭神とする。 伊弉冊尊を祀るご神体の向かいには、火の神であったために出産時に伊弉冊尊にやけどを負わせ、結果的にその命を奪った軻遇突智尊の磐座がある。父である伊弉諾尊に斬り殺されてしまった軻遇突智尊は、その体から多くの神を生み出した。人気の高い龍神である闇淤加美神(くらおかみのかみ、貴船神社の奥宮などに祀られる)や高龗神(たかおかみのかみ、同じく貴船神社の奥宮などに祀られる)や鹿島神宮で有名な建御雷之男神(たけみかづちのおのかみ)などである。この話はオシリスがその体をばらばらにされ、ホルスとして復活したというエジプト神話と共通した概念があるのではないだろうか。軻遇突智尊は一度死ぬことによって、火という一つの要素を分解した多くの要素として蘇ったのだ。 軻遇突智尊は全国にある秋葉神社や愛宕神社では火伏せ、防火の神として祀られている。45メートルだという伊弉冊尊の巨岩と比べて小さな-と言っても18メートルあるそうだが-軻遇突智尊の磐座は、母の胸に抱かれる赤ん坊を想像させる。花窟神社の中はとても穏やかで、母と子の愛情のような温かいエネルギーに満ちている。 Post Share Hatena RSS feedly 磐座|東海・関西 イザナミ, 三重県, 世界遺産, 伊弉冉命, 熊野市, 軻遇突智尊 岩手県奥州市・磐神社 まつろわぬアラハバキの磐座 奈良県十津川村・玉置神社 古代信仰のかたち 関連記事一覧 静岡県浜松市・堀谷アラハバキ神社 古代の神を探して 2023.03.09 兵庫県神戸市・六甲比命神社 瀬織津姫の磐座 2021.10.28 京都府京都市・稲荷山最大の磐座 御劔社(長者社)の雷石 2022.02.27 奈良県橿原市・益田岩船 古代の宇宙船とも言われる巨石 2021.11.14 光線とイニシエーション(上) アリス・ベイリー PR