斎場御嶽・三庫理

沖縄県南城市・斎場御嶽 アマミキヨの聖地

斎場御嶽

〒901-1511 沖縄県南城市知念久手堅539
      那覇空港から豊見城東道路を使って約50分
入館料:大人300円(高校生以上)
    小人150円(小・中学生)

日本、〒901-1511 沖縄県南城市知念久手堅539

 琉球王国で最高の御嶽とされ、国の神職の中でも最高官位である聞得大君(=最高の神女)が管理した聖地・斎場御嶽。  地元の人々にとっては「呼ばれなければ行ってはいけない場所」であるこの御嶽は、那覇市から国道331号線を使って南下していった南城市の海に程近い場所にある。

 正式名称は「君ガ嶽、主ガ嶽ノイビ」という。「イビ」とは神域を指し、斎場御嶽の中には六つのイビが配置されている。琉球神話における創生神であるアマミキヨが創ったと言われ、本来は男子禁制、かつては王ですら女性の衣装に替えなければ入ることが出来なかった場所だ。今でも斎場御嶽は拝所であり、地元の人間にとっては年一度しか入ることを許されない聖域となっている。  御嶽の入口は緑の館・セーファという建物で、入場料を支払い、聖なる場所に入る際のマナーなどについてビデオを見ることになる。近年では観光客のマナー違反やなどの問題が取り沙汰されているが、ここはポップなパワースポットではなく現役の拝所だと心得ておきたい。それぞれのイビ近くに行けばわかるが、この場所の神々は「生きて」いて、しかもそれは本土の人間が馴染んでいるような大和朝廷の神とはまったく異質のものだ。

斎場御嶽・案内図
斎場御嶽

 一つめのイビは御門口(ウジョウグチ)で、ここから歩を進めるとそれまでの沖縄の大らかな雰囲気が凛とした空気感に変わっていく。かつてはこの先は王国の関係者に限られていたという。写真の看板の下に置かれている六基の香炉は内部のイビを現していて、一般の者はここから遥拝(と言っても内部を見ることはできなかっただろう)したのだそうだ。

斎場御嶽・御門口
久高島遥拝所から
斎場御嶽・ウローカー

 御門口の手前から入っていくと、枯れかけではあるがウローカーと呼ばれる泉があり、斎場御嶽に入る前に禊を行った場所だとされている。本来のルートで御門口から進んでいくと大庫理(ウフグーイ)と呼ばれるイビがあり、ここでは聞得大君(キコエオオキミ・チフィジン)が神職として就任する儀式が行われていた。混同されやすいが、沖縄のユタと呼ばれる人たちは民間の人たち、ノロは王国や集落に使える公の存在で全体の平和や豊穣を祈る存在だ。聞得大君は最高位のノロということになる。

斎場御嶽・大庫理
斎場御嶽・大庫理
斎場御嶽・寄満

 大庫理から進んでいくと、寄満(ユインチ)と三庫理(サングーイ)に別れる道がある。寄満は王国に集まってきた貢物などを集めておく場所で、ユインチという言葉は元々台所と言う意味だそうだが、海とは逆側・御嶽の奥という位置にあるせいかかなり霊的な圧を感じる場所だ。

斎場御嶽・寄満下
斎場御嶽・寄満下
斎場御嶽・寄満下

 寄満を構成する岩の左側は三庫理(サングーイ)の右側を形成している。尖った岩の下から滴る水を取るために壺が置いてあり、聖なる水を取っている。奥側がシキヨダユルアマガヌビー、手前がアマダユルアシカヌビーの壺と呼ばれる。シキヨダユルアマガヌビーの壺に集まった聖水は聞得大君が最高神職につくための儀式「御新下り」(おあらおり)で行われる御水撫で(ウビナディー)=額に聖水をつける際に、アマダユルアシカヌビーは首里城の中城御殿の水撫でに使われたのだそうだ。  三庫理は斎場御嶽のシンボルとも言える、岩が二つ組み合わさって間に三角形のスペースを作っている場所だ。間を抜けて奥に行くと、ニライカナイ信仰でアマミキヨが降り立ったとされる久高島の遥拝所となっている。余談だがニライカナイは海の彼方、または地底にあると考えられていたと言い、どこか浦島太郎の昔話を連想させる。三庫理の奥にはチョウノハナと呼ばれる最も格式の高い拝所になっていて、クバの木を伝ってアマミキヨが降臨すると信じられている。

斎場御嶽・三庫理
斎場御嶽・三庫理チョウノハナ
チョウノハナから久高島

 そこから久高島を見ようと岩に手を触れたとき、それまで小雨だった空に薄らと光が射して柔らかく風が吹いた。斎場御嶽は「神々は人の信仰心によって生き続けるもの」だということを感じられる場所だった。

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