宮崎県延岡市・神さん山

宮崎県延岡市・神さん山 北辰信仰の痕跡

神さん山

〒889-0101 宮崎県延岡市北川町川内名10386
      東九州自動車道北川ICから車で約1時間
      祝子川温泉から徒歩約10分で登山口

日本、〒889-0101 宮崎県延岡市北川町川内名10386

 宮崎市の中心部から東九州自動車道をひた走って約2時間半、神さん山は祝子川温泉に程近い場所にある。最終的に高千穂から延岡を結ぶ県道207号沿いに入るが、両面通行が厳しいような細いところもある。神さん山への入口には木の看板があるので気をつけて見ておきたい。登山口がわかりにくいが、さらに上斜面左側に手書きのイラストが描かれた看板が立てられていて、最初の看板から九十九折のように入っていけばいいことがわかる。

神さん山と巣ノ津屋洞窟遺跡の看板
神さん山標識
神さん山周辺

 そこからは不揃いの大きさの岩で作られた階段を登っていくことになる。足場はかなり悪く、おそらくヒールのある靴では厳しいだろう。最初のあたりでは竹に縄を結びつけてくれているものが2本あるので、それを掴みながら登った方が安全だ。そこを登りきると少し緩やかな斜面になり、この先は200段の石段を登ることになる。水平な段差があるわけではないので、平衡感覚が怪しくなったりするかもしれない。石段の両脇には木や岩があるので、支えにしながら進みたい。

神さん山・最初のエリア
神さん山・最初のエリア
神さん山・最初のエリア
神さん山・最初のエリア
神さん山・石段
神さん山・両脇に岩のある場所

 両側に岩がせり出している場所があり、そこからすぐ上が巨石のある場所になる。高さがそれぞれ24m、15mという巨石がお互いを支え合っている中央下部、洞窟部分に大きめのピラミッド型の神石とその奥に三角形の石、手前には鳥居が設置されている。小さな三角形の石、ピラミッド型の石、巨石と三重になっていて、冬至の日にはピラミッド型の石に日が当たるのだという。  縄文遺跡の一部であるこの巣ノ津屋洞窟は南を向いているが、ピラミッドと同じような意味合いを持つ、星を崇めるための祭祀場だったのかもしれない。世界の神話体系と日本神話は男女が逆転していたりということがよくある。ピラミッド建設時の北極星は現在のこぐま座アルファ星・ポラリスではなく、りゅう座アルファ星・トゥバンだったことが判明している。太陽信仰を基本としていた古代エジプトも、ピラミッドがオリオン座の三連星と同じように配置されているように天体そのものを大切に考えていた場所だ。  ここで祀られているのは山幸彦、ホオリノミコトではないかと言われている。このすぐ近くを流れているのは祝子川と書いて「ほうりがわ」、「祝子」は神に使える人を指すが、生まれたばかりのホオリノミコトが産湯をつかったと伝えられている。ホオリノミコトの妻とされる豊玉毘売命(トヨタマヒメノミコト)と息子である鸕鶿草葺不合尊(ウガヤフキアエズノミコト)は鵜戸神宮という同じ宮崎県にある、洞窟の中に作られた神社で祀られているが、巣ノ津屋洞窟と鵜戸神宮はほぼ一直線上にある。その中間には都農神社という神社があり、大己貴命(おおなむちのみこと)や素盞嗚命(スサノオノミコト)など多くの古い神々を祀っているほか、かつて遥拝所として使われていたあぶら石という岩が置かれ、神石と呼ばれる小さな石に願掛けをする。

神さん山・巣ノ津屋洞窟遺跡
神さん山・巣ノ津屋洞窟遺跡
神さん山・巣ノ津屋洞窟遺跡

 巨石の逆側には大きな一枚岩があって、ふちギリギリまで登っていくことができる。巨石から向かって左側に進むと、山の斜面一面に広がる巨石群を見ることができる。ここまでの登山道は急な上に見晴らしがよくて怖いが、頑張って登ってよかったと思った場所だった。

神さん山・巣ノ津屋洞窟遺跡
神さん山・斜面の石

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