山梨県山梨市・土地の人々を見守る　花後薬師の磐座

　花後薬師の磐座としてGoogle Map上にも出ているが、かなりわかりにくい場所にある。大石神社から道沿いを少し北に歩き、細い用水路沿いの住宅が立ち並ぶ道を入っていく。私たちは車で先まで行ってぐるっと回りこんだ形になったので、畑の横の細い道を入った。

　大石神社の看板にあって見つけられなかった”鎧石”が見つかった。大石神社から花後薬師にかけては同じ岩盤上にあるようで、帰りに話を聞かせてもらったご近所の方によるともっと北のほうまで巨石のある場所が続いているそうだ。道の入り口にはなんとも住まいたくなる、ちょうどいい組み合わせの巨石があって心が躍る。

　花後薬師のお堂は木の扉がついているので、人の家を訪ねたときのような気分になりつつ開けて挨拶をした。お堂の上には覆いかぶさるように岩が突き出していて、右側に小道があり巨石の近くまで登ることができる。

　上の方に行くと塚のようなものがあり、近くまで行ったところ観音さまが彫られた石碑と古い墓石が十基ほどある場所に出る。古くから地元の人々に見守られて静かにこの場所に在り続けた存在たちに対して失礼なことをしたくなくて、そちらの方向に向けてシャッターは切らず、それよりも高い位置の石に登るのはやめた。

　磐座を祀る場所にはよく「登らないでください」という看板があるが、単に崩れることがあるからというだけでなく、その岩や場所を崇めていたからという理由もよく書かれている。その地を神聖な場所として、また縁者の眠る地として大切にしてきた人たちの思いを大切にしたいと思った場所だった。