奈良県橿原市・香具山神社

奈良県橿原市・國常立神社 歴史を見ていた龍の山

國常立神社

〒634-0022 奈良県橿原市南浦町326
JR桜井線 香久山駅から徒歩で約45分

ご祭神

國常立命
高龗神

日本、〒634-0022 奈良県橿原市南浦町326

橿原神宮駅から車で約10分に位置する香具山の山頂付近にある國常立神社。香具山は持統天皇が詠んだ「春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山」で有名だが、神聖な山を囲むように天香山坐四処神社と呼ばれる坂門神社、畝尾都多本神社、畝尾坐健土安神社、天香山坐櫛眞命神社があり、このうちの天香山坐櫛眞命神社に比定されるのが天香山神社と國常立神社だ。

祭神である國常立命は謎の多い神とされているが、私は素戔嗚尊やルシファー、サナトクマラ、鞍馬寺の「魔王」、閻魔大王、シヴァ、不動明王などに比定できると考えている。艮の金神、破壊と再生…古いパラダイムを壊してよりよい新しい世界を生み出すエネルギーだ。

素戔嗚尊の八岐大蛇伝説は龍を退治したと解釈されることもあるが、今でも荒神として龍を祀る地域があり、龍神系と素戔嗚尊がどちらも祀られている神社が多いことを考えるとむしろ八岐大蛇はイレギュラーな龍もしくは蛇であり、櫛名田比売は龍の一族だったのではないだろうか。櫛名田比売の両親の名はアシナヅチ・テナヅチなのだ。だとすれば、素戔嗚尊は櫛名田比売を妻とすることで龍の一族の王となったことになる。

かつて祭祀を担っていた富家の末裔だという斎木雲州氏は、出雲族の先祖はインドからやってきたドラヴィダ族で、元々の神はクナト・クシナダ夫婦と息子サルタヒコだったという。素戔嗚尊は徐福であり、出雲に対しては侵略者で、クシナダとは時代が異なるのだという…が、過去を修正することにはあまり意味がないのではないかと思う。私たちは長い時間をかけて國常立命はこの世界を作った神(それ以前の神が”天の神”)であり、素戔嗚尊と櫛名田比売は夫婦であると認識してきた。人の神というのは、多くの人たちが「そうであれと祈る」力によって神たり得ていて、その神は実はそうではないと言われても今までに蓄積されてきた祈りの力には及ばないのではないだろうか。

橿原の國常立神社では、社が並んだ形で國常立命と高靇神が祀られている。國常立命を祀った方には手前に壺が埋められていて、この水を替えると雨が降るという雨乞い伝説がある。

古事記・日本書紀を歪めた形にしたのは持統天皇だと考えられる。天智天皇(中大兄皇子)が蘇我倉山田石川麻呂の娘との間に設けたのが鵜野讃良、後の持統天皇だ。彼女は天武天皇(大海人皇子)と結婚した。出家して皇位継承はしないはずの大海人皇子が皇位継承者である天智天皇の子・大友皇子を倒し(壬申の乱)、天皇となったことの正当性を持たせるために天武天皇を神格化した歴史書になったのだと言われている。蘇我氏は大化の改新で滅ぼされたわけではなく、蘇我氏の頭領が代わり、その後も天皇家の背後で権力を誇ったのち藤原家と緩やかに一本化していった。

標高わずか152メートルの香具山には、天岩戸神社・伊弉冊神社・伊弉諾神社・天香山神社があり、月の誕生石、蛇つなぎ石という巨石も祀られている。血腥い争いが絶えなかった京の時代から現代まで、天香具山は神の降りる場所として在り続けている。

奈良県橿原市・香具山
香具山標識
國常立神社
香具山看板
香具山看板
奈良県橿原市・香具山神社

関連記事一覧