玉置神社

奈良県十津川村・玉置神社 古代信仰のかたち

玉置神社

〒647-1582 奈良県吉野郡十津川村玉置川1
大阪方面から 阪和自動車道・美原JCTから約3時間
和歌山方面から 阪和自動車道・南紀田辺ICから約2.5時間
三重方面から 紀勢自動車道・熊野大泊ICより約2時間
十津川温泉エリアからタクシーで約4000円
世界遺産予約バス(玉置山コース)
 土日祝のみ、12月~3月運休、完全予約制
 昴の郷 8:40 → 十津川温泉 8:44 → 玉置神社 9:24
 玉置神社 11:10 → 十津川温泉 11:50 → 昴の郷 11:54
 片道810円 往復1620円
 予約先:奈良交通(株)平谷営業所 電話0746-64-0408
 ※乗車日の前日17時、乗車日の前日が土・日・祝日の場合は
  休日の前日17時までに予約のこと

ご祭神

本社御祭神
国常立尊(くにとこたちのみこと)
伊弉諾尊(いざなぎのみこと)
伊弉冊尊(いざなみのみこと)
天照大御神(あまてらすおおみかみ)
神日本磐余彦尊(かむやまといわれひこのみこと)

摂社・三柱神社御祭神
 倉稲魂神(うがのみたまのかみ)
 天御柱神(あめのみはしらのかみ)
 国御柱神(くにのみはしらのかみ)

末社・玉石社
大巳貴命(おおなむぢのみこと)

末社・白山社
菊理姫命(くくりひめのみこと)

末社・山之社
大山祇神(おおやまつみのかみ)

末社・大日堂社
役小角(えんのおづぬ)

日本、〒647-1582 奈良県吉野郡十津川村玉置川1

 玉置神社は1000メートルを超える山の頂上付近に位置していて、公共の交通機関で行くのはかなり厳しい場所にある。車で行くにしてもすれ違う場合は崖側か小さな落石がかなりある山側かによけなければ通れない細い山道を通ることになる
ので、辿り着こうと思うとかなりの気合が必要だろう。私たちは誰にもすれ違いませんように…と祈りながら走った。「呼ばれないと行けない」と言われる神社のひとつだが、行こうと思うこと自体が呼ばれるということなら確かにそうかもしれない、と思った場所だ。

 『玉置山縁起』などの社伝では名前の由来は玉石社に祀られる岩からとされ、熊野三山の奥の院とも言われる。紀元前37年に崇神天皇が開いた神社だとされるが、役小角が開いた大峰山系霊山…修験道の山でもある。実際に行ってみると、昔の人たちはこんなに不便な高地にどうやってこの立派な神社を建てたのか、と頭の下がる思いがした。

 しばらく下っていくと鳥居のところで分岐があり、右の道が本殿、左は社務所方面に繋がっている。左側の道は緩やかなようで「お体の不自由な方はこちらよりご参拝ください」という注意書きがある。

玉置神社参道
玉置神社案内図
十津川村観光案内図
玉置神社・鳥居
玉置神社・山之神
玉置神社・分岐右の道
天然記念物・枕状溶岩説明板

 私たちは右の道で本殿を目指した。途中には天然記念物になっている溶岩についての説明があり、磐座の岩そのものに興味のある人にはとても親切だと思った。

玉置神社・本殿前の鳥居と石段
玉置神社由緒

 裏手に回ると夫婦杉とその先に神代杉がある。社務所の方から急勾配の階段を登っていくと玉石社がある。神社入り口からはかなり時間がかかると思うので、バスの時間などがある方は気をつけておいたほうがいいかもしれない。玉置神社内には魅力的な場所がたくさんあるので、気を抜くとすぐに時間が経ってしまう。

 玉石社の丸石があったことで「玉置」という名前がついたなら、元々この場所で祀られていたのはこの石たちだったということになる。古代からそこに在っただろう石のひとつは軻遇突智神を祀っている。伊弉諾尊と伊弉冊尊が生者の国と黄泉の国に分かたれたのは、この世界の根幹となる二元論の日本に於いての始まりだったのではないだろうか。大峯修験道では玉石社は聖地と崇められていて、本殿より先に参拝するそうだ。

玉置神社・夫婦杉
玉置神社・玉石社
玉置神社・玉石社
玉置神社・玉石社
玉置神社・玉石社
霊石三つ石神祠

 三柱神社では倉稲魂神、天御柱神、国御柱神が祀られている。三柱が祀られているためか伏見稲荷のようにストレートな現世利益をもたらす力ではなく、天地人のような大局的なエネルギーを感じる社だ。

 そして菊理姫命を祀る白山社、離れがたいエネルギーを持った磐座だ。菊理媛は伊弉諾尊と伊弉冉尊の間を仲裁したとされ、和合・縁結びの神として祀られることが多い。個人的には瀬織津姫に比定できるのではないかと思っているが、二元論で分裂していく流れから大きな「一」に向かう時代、この神のエネルギーに惹かれる人が多いのは当然だと言えるだろう。

 磐座が好きな人、古代日本の歴史が好きな人、神社が好きな人…いろいろな角度から多くの人を惹きつける玉置神社。神武東征の上陸地となった熊野から程近いこの場所では、それ以前から存在していたであろうすべてを包み込むエネルギーに浸ることができる。

三柱神社
玉置神社・白山社
玉置神社・白山社

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