鳥取県鳥取市・坂谷神社

鳥取県鳥取市・坂谷神社 古代への鍵となる神々の庭

坂谷神社

〒689-0111 鳥取県鳥取市福部町栗谷389
      JR西日本・山陰本線 福部駅から徒歩約25分
      鳥取コナン空港から国道9号経由で約25分

ご祭神

大山祇神(オオヤマツミノカミ)

日本、〒689-0111 鳥取県鳥取市福部町栗谷

 江戸時代から古代文字のひとつ、豊国文字が刻まれているのではないかと言われていたという坂谷神社。

 栗谷遺跡の一部にある磐座群が坂谷神社と呼ばれ、本殿とされている巨岩の下に鎮座する小さな社には大山祇神が祀られている。入り口からここまで急な石段ではあるが20分程度で登れる。

 空港や市内の賑やかな方から来ると、左側に駐車できるスペースと右側に東屋がある。その周辺には説明書きだけでなく駅方面への看板なども立っているが、方角が怪しいのでどの方向に行けばいいかわかりにくい。磐座群を訪れるなら東屋が見えたら向かって左側の木陰の先を探すと、木の陰に苔むした石段がある。右側には採石場の跡があって巨石は豊富だが、祭祀の匂いはしない。

栗谷遺跡東屋前
坂谷権現看板
坂谷神社社叢について
福部駅への看板
採石場跡
坂谷神社入り口

 歩いていくととんでもない数、とんでもない大きさの岩たちに圧倒される。現在では本殿とされる社周辺だけが整備されているが、無理やり周辺の斜面を登ってみると同じような大きさの石や古い磐座群でよく見られるような、間の空間が三角形になるように置かれた(のか自然の状態なのか)形状の岩がいくつかあった。

坂谷神社内の岩
坂谷神社の岩たち
大山祇神の社
豊国文字とされる白い刻印
坂谷神社本殿裏

 この日は曇りだったのだが、写真を撮っていると一箇所ピンク色の光が映りこんだ場所があったのでどうにか下から回りこんでみると、その岩も中の空間が三角形になっている岩だった。栗谷遺跡は縄文期の遺跡なので、おそらくその時代から祭祀を行う場所で、時代が下って北辰信仰の磐座として使われていたのだろう。

本殿から左側の岩
三角形に設えられた岩
三角形に設えられた岩内部

 多くの磐座を訪れてみて思うのは、どこに行ってもごつごつした岩のイメージとは違う柔らかなエネルギーの場だということだ。磐長姫は縄文を、木花咲耶姫は弥生を表すのではないかという説があるが、雄雄しい岩という男性性と柔らかな女性性のエネルギーを持っていた彼女は一人で完全であり、夫という他者を必要としなかったのかもしれないと思う。古代祭祀では卑弥呼の例を挙げるまでもなく、主体は女性だったのだ。古代エジプトでもファラオを承認し導くのはその妻の役割だったものが、戦いと力の時代になって変化してしまっていたのが大和以降の日本、アブラハム以降の世界だ。

 男性性にも女性性にも偏らず、ふたつの相反する要素を統合して完全な一になるために、私たちが今混沌のさなかにいるのだとしたら…。為政者たちにも陰謀論者にも与せず、頭と体と感情を使って自分自身の判断力を取り戻すことが必要なのではないだろうか。そのためのヒントが残されているのは、この坂谷神社のような磐座など古代の神が遊ぶ場所、すべての要素が対等に在る場所なのではないかと思う。

坂谷神社磐座内部から
坂谷神社磐座

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