神居古潭

北海道旭川市・神居古潭 縄文から続く自然への祈り

神居古潭

〒078-0185 北海道旭川市神居町神居古潭

日本、〒078-0185 北海道旭川市神居町神居古潭

 ゴールデンカムイにも登場する神居古潭は、旭川駅近辺から国道233号を使って20分程度で行くことができる。神居大橋の手前に飲み物などを売っている店があり、その少し手前に何台か車を止められるスペースがある。神居古潭はアイヌの神々についてのユーカラにも描かれた場所で、このエリアには甌穴群や竪穴住居遺跡、ストーンサークルなど興味深い場所が多く残されている。

 入口には神居古潭という看板と大きな神居古潭石がある。説明書きが立てられたところから神居大橋がかかっているので、山の方へ向かっていく形になる。神居大橋から石狩川をのぞき込むと、祭祀に使うのにちょうどよさそうな穴が空いた大きくて平たい甌穴があったり、水鳥が魚を捕っていたりする。最深部の深さは70メートルもある上に非常な急流で、かつて石狩川を使って移動していたアイヌにとって最大の難所だったのだそうだ。犠牲者が出るのはニッネカムイという魔神が大きな岩を投げ込むせいだとされたが、山の神であるヌプリカムイと英雄サマイクルが戦いに勝ったという内容がユーカラに謡われている。

神居古潭入り口
神居古潭説明
神居大橋
神居大橋

 神居大橋を渡って少し先には、昭和44年に函館本線旧線が廃線になるまで使われていた神居古潭駅の駅舎が残されている。中に入ると付近のアイヌ語地名や神居古潭の説明などが掲示されていて、ベンチに腰掛けて一休みすることができる。線路だったところはサイクリングロードになっているが、列車の脱線事故があったり難工事だったこともあってか、トンネルが心霊スポットだと言われていたりする。トンネルが一直線ではなく入口から出口が見えないことで無意識に不安になることや、水・土・木といった自然の力がとても強い場所なので、トンネルを造ったことで磁場が乱れたのかもしれない。入口側と出口側のエネルギーがかなり違って感じられるので、怖いと思う人はいるだろうなと思う。

神居古潭駅舎
駅舎内説明板
神居古潭駅舎内
駅舎内説明板
神居古潭駅ホーム
神居古潭駅とSL
神居古潭駅ホーム
D51

畏怖の対象となっていただろう神居岩を目指して、サイクリングロードの右側にある白い階段から山に入った。前日に雨がぱらついたせいで、途中途中に水たまりや深い泥のぬかるみができていた。私たちは3人で登って行ったのだが、途中同じくらいの高さから動物の呼吸のような音が聞こえてきたので、みんな思わず大きな声になってしまった。ホテルに戻って調べたら、二日前と一週間前に神居古潭に程近いエリアで熊の目撃情報があった。神居岩を目指すなら熊除けの鈴やスプレーなどを携帯しておいた方がいいだろう。道自体はそれなりに歩きやすく一本道なので、神居岩を拝める地点までは迷うことなく辿り着くことができる。その地点からさらに神居岩に登れるようだが、神の岩を踏みつける気にはなれなかったのでその先には進まなかった。

ハイキングコース看板
神居岩の説明
神居岩へ
神居岩
神居岩

竪穴住居跡は人間の暮らしと祈りが一体となっていた場所ならではの迫力と静けさがあり、ガンジス川を思い出した。ここにいた縄文時代の人たちは、きっと石狩川を眺めながら自然の要素たち…おそらく今私たちが神と呼ぶものの原形に対して祈ったのだろうと思った。そしてそれは人間の役に立つものはすべて神だとみなしたアイヌの人々のあり方と同質のものだろう。人間に命を与えてくれた鹿など動物や魚などに対しての敬意、人の力が及ばない自然に対しての畏怖は現代人にはなかなか見えないが、本質的に大切にしなければならない部分なのではないだろうか。

神居古潭竪穴住居跡
神居古潭竪穴住居跡
神居古潭竪穴住居遺跡
神居古潭竪穴住居跡
祭祀エリアから石狩川
住居跡から石狩川

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